煤ヶ谷から物見峠を経て大山北尾根へ

登山

2017年12月10日、年内最後の山行として大山北尾根を登ることにした。父から何度も大山北尾根が良いと聞かされていて、一度行ってみたいと思っていたところである。今回は煤ヶ谷から物見峠を越えてアプローチし一ノ沢峠から大山北尾根に取り付くという計画を立ててみた。

本厚木発6:55のバスに乗れば、煤ヶ谷のバス停には7:25到着となる。早朝の冷たい空気がキンと体にしみる中、民家の間を抜けながら大山三峰山と途中まで同じコースを歩く。

ヒルもいるが熊も出る。私が子供の頃から大山の裏側から東側の方に熊が出ると聞いているが、出会いたくないものである。

朝日の中をカサカサと落ち葉を踏みながら進むのは、なんともいえなく気持良い。

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少しずつ高度が上がってくると、木々の間から朝日があたって輝く海に浮かぶ江ノ島が見えた。神奈川県民の郷愁を誘う風景とでも言えるだろうか?いい眺めである。

登山道を進むとほんの少しだけ紅葉が残っているところもあった。

歩きだして一時間経たないうちに大山三峰山との分岐にさしかかる。本日は写真右奥の方向、物見峠方面に向かう。

分岐から進むと物見峠の手前は道で荒れているという注意書きがあった。

こんな感じで所々崩れて道が荒れているところもあるが、特に通行に支障は感じなかった。登山道に手をいれて整備・維持するのは大変なことだと思いながら進む。

物見峠だけあって横浜方面がよく見えた。残念ながら写真では遠景が飛んでしまった。あしからず。
こういった歩いて越える峠道を通るとなんだか昔の人になって山道を歩いている気分になってくる。煤ヶ谷から札掛への道は、その昔江戸幕府の御料林だった頃に盗伐や山火事見回りに使われていたそうで、かつて丁髷を結った人と同じ道を歩いていると考えると、人の気配が少ないこの道では草鞋でも履いた人がヒョイと出てきても不思議ではないといった気持ちになって楽しいものである。


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私が持っている古い地図、山と高原地図(昭文社)2000年版の「丹沢」では、物見峠から黒岩までのルートは現在と違って唐沢林道を歩かないコースが引いてある。


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しかし、現在そのコースは通行止になっていて、唐沢林道に迂回するように注意書きがある。


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標識にも黒岩や札掛方面に進むには唐沢林道を経由するように表示されている。
実ははこの立入禁止の標識を越えて荒廃した旧道を歩こうと考えていたのですが、物見峠で休憩した後、出発のとき通行止の標識を素直に通行止と認識し指示通り迂回してしまった。
旧道を歩くにはここを入る必要があったことに後で気づいた。

物見沢方面に下る道が途中にあるかと思ながら進むと。唐沢林道に下りてしまう。どこか沢の方に入る道は無いかと探しながらも、引き返すことなく林道を進んだ。

唐沢林道はしっかり凍結していてとても滑りやすい。注意しないと転んでしまうので、落ち葉の上などを騙しながら歩いて行く。
途中、唐沢林道から下の沢を眺めて、あれが通行止めの旧道だろうか?などと思いながら歩を進める。
何気なく通行止の標識を鵜呑みにして不注意に先に進んで林道を歩いてしまったのは残念なので、またいつか旧道を歩いてみようと思う。


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黒岩側の通行止めの標識。通行止と書いてあるとどうしても素直に受け止めてしまい、その先に進みづらいと思う。

気を取り直し、唐沢林道から一ノ沢峠に向かう。

一ノ沢峠から標識にしたがい札掛方面に進んでしまうと、今度は大山北尾根を逃してしまうことになる。失敗を繰り返さないよう慎重に、ここから札掛方面には行かず地図の南方向、写真では小高くなっている方に向かう。

誰もいない静かで穏やかな道を登っていく。林がとてもきれいな心地良い尾根である。

立派な樅の木が沢山あり思わず見上げて、そしてつい写真を撮りたくなってしまう。

送電線の鉄塔手前の地獄沢橋方面への分岐。
この辺からだんだんと風が強くなってきた。送電線や鉄塔のせいか風をきる音が大きく聞こえる。

ちょっと調べてみたが、この送電線は新多摩線というもので、秦野市の東田原にある新秦野変電所と八王子市の上川町にある新多摩変電所を結んでいるようである。そして、この鉄塔は新多摩線の16号鉄塔と呼ばれるもののようだ。
地形図を見てみると、送電線はここから北に向かって宮ヶ瀬ダムの端をかすめて津久井湖を越え八王子まで続いてく。


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16号鉄塔からしばらく進むと段々と大山の頂上がはっきりわかるようになってくる。鉄塔が立っているピークが大山の頂上である。北斜面にはおそらく前の週あたりに降った雪が残っており稜線越しに強く吹き抜ける風をより冷たく厳しく感じる。

モノレールの軌条が現れると大山の頂上も間近である。
こういった構造物を山の中で上手に組み立てるものだと、いつも感心してしまう。

大山山頂北側にあるアンテナがどんどん近づいてきた。


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大山山頂付近、北尾根からの富士山と表尾根から塔ノ岳、そして丹沢山。
風が冷たいものの眺望が良く気持ちが良い。

鹿よけの柵を脚立で越えたら、アンテナの脇を抜けて大山山頂にたどり着く。


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大山山頂から横浜方面と東京湾。
山頂に着いたのはもう15:00近かったが、まだ結構人が残っていた。そして、寒い中まだ山頂を目指して登ってくる人もいたことに少々驚いた。

山頂で15分少々休憩して下山開始。ヤビツ峠から柏木林道を蓑毛に下ろうか?という話も出たが、暗くなっていく林の中を下るのも楽しくはないだろうということで、イタツミ尾根方面には向かわず下社を目指す。無事明るいうちに下山できて、伊勢原駅に向かってバスで帰途についた。

大山北尾根は、思った以上に静かで美しく素敵なところで、今度は札掛方面を絡めて歩いてみたいと思った。
また、黒岩と物見峠の間も道が無くなってしまわないうちに歩いてみたいものである。
朝バスを下りて煤ヶ谷で一緒だった大山三峰方面に向かった女性から、数年前に黒岩と物見峠の間を歩いたそうだが、そのとき同行したメンバーの一人が荒れた道に音を上げたので、途中で唐沢林道に上がってしまったと聞いた。やはり道は悪そうである。

写真に写っているのは同行のKさん。
いつもありがとうございます。

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